すべての子ども達に歯科医療を
外出困難な在宅療養児とその家族にとって、歯科に通院することにはいくつものハードルがあります。外出時にはたくさんの医療機器と一緒に移動しなくてはならない、呼吸器が弱く感染症に罹りやすいため大勢の人の中に連れていきにくい、体調変化が激しくキャンセルしがち、等の様々な理由があります。また、家族のことも考えねばなりません。家族は24時間、365日、子どもの保育、介護をし続けており、その中で、自身の仕事、他の家族の世話や家事をしなくてはならず、自分達の自由になる時間はほとんどありません。そして家族自身も体調を崩すことだってあります。
保護者から、「どの歯医者さんに行けば良いかわからない」「歯科も訪問してほしいけどどこがやってくれるのかわからない」といった声がよく聞かれます。そのため歯科とは疎遠になりがちで、いざ、歯科治療が必要となった段階で焦っても、うまく受診にこぎ着けることができなかった、という事例もよくみられます。このような、「歯科と繋がれない子ども」を一人も作らないよう、小児在宅歯科医療を充実させる取り組みの会である「小児在宅歯科医療研究会」を発足しました。
小児在宅歯科医療の充実には、地域でのシステム作りが重要です。小児在宅歯科医療研究会では、各地域の実情に応じた取り組みを通じ、社会に貢献できる歯科医療の普及を目指した活動を行っていきます。
小児在宅歯科医療研究会代表
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック
田村 文誉